本日は、「空が今にも泣きそうだ」に続く小説を各自で執筆しました。どの作品も趣深い作品ばかりです。
生徒の作品を紹介します。ぜひ、御覧ください。
空が今にも泣きそうだ。それは僕も同じことだった。
財布が、ない。
僕のなけなしの全財産が詰まった財布が。
もうどれだけの時間、泣きそうになりながら財布を探しまわっているかわからない。
体感では7日ほどが経過した。が、そんなはずはないのでおそらく2時間程度だろう。
まさしく心身共に疲れ果てた僕は、近くにあったベンチに腰かけ、打ちひしがれた。
するとそこに、黒猫がやってきた。
身なりは綺麗に見える。黒いからよくわからないが。
「お前、魔女の使いだとか不吉だとか言われて可哀想だよな。黒いだけなのにな。」
森羅万象を許せそうな心持ちの僕は猫にそう語りかけた。猫はにゃあと鳴き、去った。
しばらくすると、猫が財布をくわえ戻ってきた。中身が空の。
雨が降り出した。僕は泣いた。
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