AEMコース2年生のA1組は、東京大学 生産技術研究所 次世代育成オフィス(ONG)の出張授業をオンラインで受けました。本日の講師、大島まり先生は、バイオ・マイクロ流体工学の専門家です。テレビドラマ『ガリレオ』の監修をなさっている先生です。そんな先生が、『夢を紡ぎ、未来を織りなす科学技術』と題して、授業をしてくださいました。
AI技術によるシミュレーションがどのように医療に用いられているのか、ということについて最先端の科学技術の一端を紹介していただきました。血液のシミュレーションによって手術後、どのような病気になりやすいかを予測するというものでした。最後に、未来につながる現代科学についてお話しいただきました。「科学の諸問題について、科学だけでは解決ができなくなっていて、自分ごととして捉えた上で、文理を超えて解決していく力が必要である」という話は、近年現代文の授業で扱う内容と重なる内容でした。
生徒の感想をいくつか・・・
今回、大島先生が研究している医療におけるシミュレーションの授業を受けてもっと視野を広くし、知識欲を持って色々なことを学んでいきたいと思った。これまで、医療におけるAIやシミュレーションについて聞いたことはあったが私がそれを聞いて思い浮かんだのは実際に患者を治療する医者で、そのシミュレーションやAI学習システムを研究開発している人は全く思い浮かんでいなかった。私は将来企業の研究開発職に就きたいと思っている。今回授業を受けて思ったのは、研究開発職に将来就きたいと思っているならなおさら、そのような視点で物事をみる必要があるということだ。授業の内容はとても興味深いものだった。シミュレーション/AI がどのように医療に用いられているのか、ということについて本当に最先端の科学技術であろう話を聞くことができた良かったと思う。特に、狭窄率とそれによる合併症が引き起こる確率が狭窄率の結果とは裏腹にその他の個々のデータによって90%代の人よりも80%代の人のほうが合併症が引き起こる確率が高いというのがシミュレーションによってわかるというお話がとてもおもしろかった。また、シミュレーションをする上で9万キロもの血管を電気回路に置き換えているという話もとてもおもしろかった。血管内で血液が流れる上での摩擦のようなものを電気回路の抵抗に、また血液自体の膨らみなどを電気容量に、など私にとって血管は生物・電気回路は物理という認識だったので、自分の固定概念を壊されたような気がして、とても驚いた。質問したことでとてもおもしろい話を聞くことができて良かったと思う。私は化学が好きで物理はあまり好きではなかったのだが、思いがけないところで物理の内容が出てきて、物理を学ぶ価値をみつけられたように思う。今後は科目をもっと飛び越えて知識を応用し科学技術を開発していく世の中になると思ったので余計な勉強はないと強く思った。
①具体的に楽しかった点…脳の血液の流れが悪いところに器具を使用して血管をもとに戻す手術があることは知っていましたが、その後血管が破裂して脳出血を引き起こすことがあるということから、1つの手術をしたからといって病が完治したことにつながるわけではない知ることができ、いかに人の命を救うことが難しいことであるかを感じました。
②具体的にためになった点…最近、文系と理系の枠にとらわれずに学ぶべきという言葉をよく聞きどのようにしたらよいのかと悩んでいましたが、大島先生のお話の中で総合的探究の時間がその文系理系の枠にとらわれずに学ぶ機会だと知ることができ、なぜ探究の時間があるのかと考えていた私にはためになりました。
③科学技術のイメージが良くなった点…科学技術は身の回りの生活を豊かにするだけでなく、社会貢献をすることができるということを知れたから。
④具体的にイメージが良くなった点…技術者や研究者のイメージは研究室にこもってひたすら自分の研究内容に取り組むというイメージでしたが、お話を聞いた後では同じ研究をする異なる分野の人と協力して研究していくこともあると知り、研究者もコミュニケーション能力が必要だと知ることができました。そのため、自分とは違う視点から研究を見る機会もあり、自分の好きなことを突き詰めていけるのが研究者であるとわかった点。
⑤感想…身近にある科学技術が社会貢献に繋がりっていることを聞いたときに、現在の科学技術の粋を集めたスマホは人体に悪影響与えているという考えが頭をよぎり、私は科学技術の一面しか見ていなかったのだと痛感しました。また、受験勉強は大切だけれども、好奇心を持ちたくさんの枝葉を持つことが大切だというお話を聞き、受験勉強に好奇心を持つことができれば楽しいだろうなと思いました。第一の化学は理論、第二の化学は実験、第三の化学はシミュレーションと教わったときに、科学は今まで連綿と繋がってきたものだと思いました。第二、第三の科学は理論を証明するためにできたことだとわかったからです。学校で実験をするときにこのつながりを無視して、実験をすることに注目していましたが、本来なら一番注目すべきは理論であるとわかりました。日々の細かな疑問や気にかかっていたものがほどける機会となるお話でした。
Copyright(c) Yachiyoshoin gakuen All Rights Reserved.